2014年6月7日土曜日

2014 8・15反「靖国」行動(仮称)への参加・賛同の呼びかけ


 安倍政権による憲法破壊、米軍とともに戦争を遂行する国家への原理的な転換が進んでいる。原発やTPP、安保・沖縄・基地問題、教育、歴史認識、労働法制など各分野にわたって、いわゆる「戦後民主主義」をも根底から否定し、国家主義と強権に貫かれた全面的な再編が成し遂げられようとしている。

 五月一五日、首相の「お友だち」による私的諮問機関にすぎない「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(安保法制懇)の報告書提出を受けて記者会見した安倍首相は「集団的自衛権の行使」を合憲とする「基本的方向性」をはっきりと打ち出した。

 それは、「国民の生存の確保」や「平和主義」の名のもとに、「日本が攻撃を受けていない場合」においても海外で軍事行動がとれること、すなわち戦争をすることが可能であるとするものだ。これまで歴代の自民党政権みずからが「集団的自衛権の行使」は違憲としてきたものを、国会での審議すら経ずに、ただ時の内閣が合憲と解釈すれば、いとも簡単に解釈変更ができるという。これはまさにクーデター的手法である。内閣には憲法を遵守する義務はあっても、それを解釈する権利など本来ありえない。憲法は、まさにこうした行政府の恣意を許さないために存在するのだ。

 この間安倍政権は、秘密保護法・日本版NSC設置の強行、新防衛大綱と中期防衛力整備計画(中期防)決定をおこない、辺野古への基地建設推進など、日米同盟の一層の強化と、対中国シフトとしての「離島防衛」=沖縄前線基地化に踏み込んでいる。文字通りの戦争国家の道をひた走る安倍政権にとって、戦争の準備は、国家による戦死者の「追悼」の準備をも、要請せざるをえないのである。

 昨年一二月二六日、安倍首相は靖国神社を参拝した。アジア諸国のみならず、アメリカから、さらには与党・政権内部からも懸念を示されていたにも関わらず、自分の「気持ち」だけで突っ走ったのだ。

 靖国参拝が、国家の宗教との関わりを禁じた憲法の政教分離規定(二〇条)に反する行為であることは明らかである。そればかりではない。靖国神社とは、天皇のための死者、侵略戦争の戦死者を「英霊」として祀る神社であり、その歴史観はかつての戦争を「アジア解放戦争」「聖戦」として賛美するものである。首相としてその神社に参拝することは、日本政府が侵略戦争と植民地支配の歴史総体をも肯定することにしかならない。それはもはや、過去の侵略戦争も、今後準備されるであろう侵略戦争も区別しないということである。過去の戦争もまた「平和」の名のもとに行われたことを忘れてはならない。安倍政権は、国家による戦争発動は、常に正義であると宣言しているに等しいのだ。

 こうして国家の戦争が「正当」なものである以上、その死もまた賛美されべきるものとなる。もちろん、「戦争国家」によっておこされる戦争の死者を追悼する中心施設がどのようなものであるべきかという点については議論は分かれている。安倍は明確に靖国派であり、新たな「無宗教の追悼施設」に対しても否定的な態度を示しているが、しかし問題は、靖国神社であれ新しい追悼施設であれ、それが結局「お国のための死」を賛美し、死に追いやった国家の責任を無化し、それへの責任追求に向かわせなくする機能にこそあるのだ。

 八月一五日、天皇出席のもとで九段で開かれる「全国戦没者追悼式」も、戦争の死者のおかげで「戦後の平和」がもたらされたとする儀式である。こうした死者の利用は、来るべき戦争において生み出される死者にたいする国家の「追悼」において、まったく同質の姿を見せることになるだろう。


 こうしたことを訴える私たちの反天皇制運動に対して、街宣右翼や在特会によるデモ妨害が執拗に繰り返されている。さらに彼ら右翼を利用してデモを規制しようとする警察権力の動きも強化されてきている。右翼的な部分は、私たちの行動は死者への冒涜であるなどと主張する。だが、我々が批判しているのは、そうした死者を生み出し、今後も生み出そうとしている日本国家の歴史的・現在的な負性そのものである。だからこそ私たちは、多くの人びととともに、歴史認識の歪曲・改ざんを許さず、天皇制国家による侵略・植民地支配責任を追及する声をあげ続ける。靖国神社・国家による「慰霊・追悼」反対、天皇制の戦争責任・植民地支配責任の批判と、安倍改憲政権による戦争国家づくり、天皇元首化の実質化、ナショナリズム・排外主義煽動に抗する反天皇制運動をともに作り出していこう。実行委員会への参加・賛同を訴える。

8・15反「靖国」行動(準備会)

【呼びかけ団体】アジア連帯講座/研究所テオリア/立川自衛隊監視テント村/反天皇制運動連絡会/「日の丸・君が代」強制反対の意思表示の会/靖国解体企画/靖国・天皇制問題情報センター/連帯社/労働運動活動者評議会